NYでダンサーになる夢を追いかけていたオズワルド=カーターは、今はその夢を諦め小さな町でウェイターとして働いている。
ある日、店に現れたどこか変わった青年・テオドール=サリヴァンと出会ったことで、これまでの生き方を見つめなおし―――!?
著者 | 吾妻香夜 |
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レーベル | CHOCOLAT COMICS |
出版社 | 心交社 |
試し読みあり
下記よりネタバレあり。ご注意ください。
全体評価
物語 | |
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絵柄 | |
助平 |
カップリング
世間知らずなアーミッシュ・テオドール=サリヴァン×夢破れた元ダンサー・オズワルド=カーター
ネタバレ感想
『第1話』汚れを知らないテオ
バイクに二人乗りしながら故郷との別れを惜しむ金髪青年――。生まれ育った村から離れ、どこかへ旅立ちます。
―――場面変わって1980年代アメリカ、小さな町のウェイターとして働く黒髪の青年・オズワルド(通称:オズ)は元ダンサー。しかし大都会NYで花開かず、この町でウェイター兼娼婦として生計を立てて暮らしています。
そんなオズの働く店に、長身のどこか世間知らずそーな金髪青年が来店。見た目で“アーミッシュ”という300年前の暮らしをするキリスト教徒であることは分かったものの、店に来た理由を問いただすオズ。
そして青年のオドオドした様子に「はは~ん、こいつアッチの客か」とピンときたオズ。店の2階の自分の部屋に案内して、レッツ・プレイ!!と青年の唇を奪います。
…しかし本当に「ただ初めて酒を飲みにきただけ」だった青年、途端に自分の浅ましさにハッとしたオズ。それ以上手は出さず青年=テオドール(通称:テオ)を迎えに来た友人に引き渡し、故郷に帰らせます。
翌日もオズはテオの純真無垢な笑顔が頭から離れず…娼婦の仕事に身が入りません。なんとか迫真の演技で客を満足させると、昨日テオが話していた“ラムスプリンガ”について客に訊いてみることに。
すると“アーミッシュの子供が自由になれる期間”と教えてもらったオズ。テオのピュアな笑顔は、その“自由=汚れ”を知らないからなのだと納得します。
と同時に、すでに汚れ切っている自分をどうすることも出来ず…眠りにつきます。
『第2話』自由を知るテオ
後日モーニングを食べにレストランへ行くと、またもや店でオドオド注文できずにいるテオを発見したオズ。
気になって事情を聴くと、今日から半年間ラムスプリンガなのに宿無し職無しであることが判明。これは捨ててはおけん!!とオズは自分が働く店に頼み、テオをウェイターとして雇ってもらいます。
テオも持ち前のポジティブさで、オズと一緒に仕事を頑張ります。ちなみに住み込みなので住むところも無事確保。
そして夜になってオズが客とベッドインしていると「もっとやさしくしてあげてよ~」と、泣いて攻めモブにお願いする純粋なテオ。ワンコ攻めの申し子(笑)
そんなある日、不良グループに絡まれてしまったテオ。しかしアーミッシュであるが故に“怒る”という感情すら沸かず…代わりにオズが返り討ちにしてやります。
「代わりに怒ってくれてありがとう」と礼を言うテオは、ラムスプリンガの間だけでもそういった感情を表に出せたらいいな…と思うのでした。
『第3話』恋を知るテオ
オズのショタ時代の回想。バレエのレッスンに励んでいたオズにパパの戦死の知らせが…!!そして悲しみ打ちひしがれながらも、ダンサーになることを志すオズ。
―――現在に戻り、明るい愛嬌ですっかり店の看板ウェイターのなったテオ。仕事終わりにオズと男子会(?)を開き、オズがNYでダンサーを夢見ていた過去話を聴きます。
素直に感心したテオは「いつかボクをNYに連れてって」とキラキラした眼差しをオズに向けます。でもそれに生返事でしか答えられないオズ…純粋ってゆ~のも残酷なもんです。
しかも飲みすぎたのか「もう一度オズとキスしたい」とゲイ心をくすぐる発言をしてきたテオ。正気に戻させるためオズは尺八でサービスするも、正気に戻るどころかテオのスイッチはONに!!
ベッドになだれ込んだふたりはそのままメイクラブ!!事後、一夜の過ちとやり過ごそうとするオズに「この気持ちは勘違いじゃないよ」と抱きしめるテオ。
観念したオズはテオに本気でハマっていく自分を許します。こうして月日はアッ――っという間に流れ、ラムスプリンガの半年の期限がやってきます。
『第4話』故郷を捨てられるか
オズがダンサーを夢見てNYに上京してきた頃の回想。ダンスも顔もイイけど、滲み出る“焦燥感”が決定的にダメだと審査員に辛口採点されています。
―――現在に戻り、テオの故郷であるアーミッシュ一族が暮らす村で生活するオズ。どうしてこうなったかと言うと、ラムスプリンガの期限の日に迎えに来た友人・ダニーに頼み込んだから(笑)
そこでダニーから“ラムスプリンガの真実”を聴いたオズ。ひと時の自由を手に入れても、同時に都会の汚れを知ってしまい結局は故郷恋しさに帰ってくる…というもの。
はじめは理解できないと思っていたオズもテオの故郷の村が素晴らしすぎて、数日いるだけでそれもアリかな?と思えるほどに。
そんなある日、酒に酔ったオズは「NYでダンサーになれず戦死したパパを裏切っている」とテオに懺悔。しかしテオは「お父さんは怒ってないよ」と優しく包み込みます。
そしてオズへの愛が深まったテオは「あの小さな町で一緒に暮らそう」と、村を出ることを決意。そのままふたりはイチャイチャタイムに入ります。
しかし!!ホモってるところをダニーに見られてしまい「汚らわしい」と一喝。続けて怯むオズに“ラムスプリンガの最後の決断”を説明するダニー。
“故郷を捨て生きることを選んだものは永久追放される”という衝撃の事実を知り、オズはテオと故郷を離れるべきか悩みます。
『第5話【描き下ろし】』後悔のない決断
テオとダニーのショタ時代の回想。ダニーの兄・ジーンがラムスプリンガの最後に故郷を捨てることを選び…悲しみにくれるダニー。
ちなみにジーンが主人公のお話はコチラです。

テオにはそうなってほしくないとダニーは“ラムスプリンガはコワい”と洗脳します。ちょいと狂気な友情ですなァ…。
―――現在に戻り、ダニーマジギレ事件後ひとり小さな町に戻ったオズ。しかし不良に絡まれ無理矢理ヤられそうに!!
と、そこに故郷に残してきたはずのテオが助けに現れます。はじめて怒り、殴り、感情を露わにするテオにオズも唖然…。
しかしテオのことを思いふたたび故郷に送り返すオズ。翌朝、テオにもう二度と会わないように小さな町を出ようとします。
すると店の常連客が現れ、今度NYで予定しているオーディションに参加しないかと誘われます。このチャンスに、もう一度夢を追いかけることを決意したオズ。
NYに行く途中テオの故郷に寄り「オレと一緒に生きてくれないか」とプロポーズ(?)。テオはその手を取り“ラムスプリンガの最後の決断”を下し、故郷を去ります。
まとめ
長編小説を読んだかのようなロマンス溢れる作品。ちなみにテオの故郷の雰囲気は『赤●のアン』みたいな感じです。
まっ!なんにせよダンサーを夢見てバレエに打ち込んでいたオズのカラダは、股関節も柔らかくて鼻血が止まらなかったです(黙)
試し読みあり